ホテルについて

今から私がこの一生でも最初で最後であって欲しいという経験をした宿についてお話したいと思います。それは、今から10年以上も昔のことですが夫と九州の宮崎を旅行した時のことです。その時より更に昔、新婚旅行のメッカだったという青島で紺碧の海を眺め雑誌に乗ってた神社を参拝しお手入れが今一の植物園の温室を見て埴輪がいっぱい並ぶ平和公園を散策し、宮崎市内で食事を済ませた後この日の宿に向かいました。着いてびっくり!薄汚れた外観にも思わず怯みますが、何よりも中に入ってロビーには木彫りの何か分からない彫刻で溢れかえっていて館内は薄暗く古ぼけていて歩くと床がギシギシと軋みました。階段もこんな調子で部屋に案内されて更に怯みました。昭和レトロもいいとこで、お祓いした方がいいんじゃないかと思うくらい何か居るよね?絶対夜になったら出るな、ここ・・・と思わざるを得ない空間でした。古いシミの着いた浴槽の有るバスルームには大きめの鏡が壁にバーンと貼り付けられていて、その鏡に映った自分の姿が自分じゃないような妙な不気味さがありました。宿を変えるにも夕方のこの時刻ではもう遅いし、2人で腹をくくって泊ることにしました。夜眠る時いつ出るか、いつ出るか。と思っている間に2人とも旅の疲れでどっぷり爆睡してしまいました。しまった!と思った時はもう朝でチェックインの時間が迫っていました。慌ててチェックインを済ませ、夫と、「結局何も出なかったねー」等と、ホッとしたような残念なような変な気分でそのホテルを後にしました。

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